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相続登記にかかるお金のこと
相続登記にかかるお金のこと
最近は、相続登記のご依頼が非常に多くなってきました。
当事務所もHPを開設して以降、大分に限らず、県外の方からもお問い合わせをいただくことが増えてきました。
相談の中で一番の関心は、やはり
「いくらかかるのか?」
ということのようですので、
今日は、相続による不動産の名義変更手続きに関して、
「どのようなお金がかかるのか」
ということをご説明したいと思います。
なお、本日、ご紹介する司法書士報酬はあくまで「当事務所」の基準に沿ったものです。
司法書士報酬は、各事務所によって異なりますのであらかじめご了承ください
【相続登記にかかるお金】
まず、相続登記にかかるお金は大きく分けて以下の3つです。
- 登録免許税
- 戸籍等実費
- 司法書士報酬
司法書士に手続きを依頼する場合は上記1~3の合計が手続費用となり、
司法書士に依頼せず、自分で登記申請する場合は、1,2のみが手続費用となります。
※ちなみに、司法書士以外の士業(行政書士や税理士など)に相続登記の手続きをまかせることはできませんのでご注意ください。
では、ひとつずつご説明していきます。
1.登録免許税について
これは、相続登記を申請する際に納める税金です。
計算式は以下の通りです
「不動産の評価額×4/1000」
不動産の評価額は最新の固定資産評価額に基づいて計算します。
「評価額はどのように調べるのか」というと、主に以下の資料で確認します。
- ①評価証明書(又は公課証明書)
- ②名寄帳兼課税台帳
- ③課税明細書(毎年春に市町村から送られてくるもの)
なお、司法書士は、原則、②の名寄帳で確認します。
なぜならば、非課税不動産の漏れをなくすためです。
この点は以前「亡くなった人の不動産の調べ方」の記事でご説明していますので、詳しくはそちらをご覧ください
そして亡くなった人の不動産の評価額を全て合計した金額に、先ほどの税率をかけて登録免許税を算出します。
例えば、亡くなった人名義の不動産(土地と建物が1つずつ)の評価額の合計が1000万円だった場合、
1000万円×4/1000=4万円となります。
2000万円だったら8万円、3000万円だったら12万円、1億円だったら40万円
というように、評価額が増加すると登録免許税の額も増加します。
そのため、評価額に関する資料がない時点で
「登記費用はいくらかかるの?」と聞かれても
「資料をみないとわかりません」というお返事になりますので、
費用についてお問い合わせいただく際は、なるべく上記①~③の資料をお手元にご準備の上でお問い合わせください。
2.戸籍等実費について
相続登記を申請する際、一般的に以下の資料が必要ですので、その取得のための実費がそれぞれ必要になります。
- ①亡くなった人の戸籍謄本等
- ②亡くなった人の住民票の除票(又は戸籍の附票)
- ③相続人の戸籍謄本(抄本も可)
- ④不動産を相続する人の住民票
- ⑤(遺産分割協議をする場合)相続人全員の印鑑証明書
①は、「その人が生まれたときから亡くなるまでの全て」の戸籍が必要です
戸籍には、現在戸籍、改製原戸籍(かいせいはらこせき)、除籍(じょせき)などいくつか種類があり、切れ間なく全てそろえる必要があります。
戸籍は、「本籍地」の市区町村役場で取得します。
注意としては、住民票上の住所地と一緒とは限らないということです。
亡くなった時に住んでいた住所が大分市でも、本籍地が北海道の場合は、戸籍は北海道で取得することになります。
(※戸籍は郵送請求も可能ですので、必ずしも本籍地の役場まで出向く必要はありませんが・・・)
※なお、本籍地がわからない場合、住民票を本籍地記載入りで取得すればわかります。
②はあまりなじみのない資料ですが、亡くなった人と登記簿上の名義人との同一性を証明するために取得します。
戸籍などを取得する際には、以下の実費手数料がかかります
現在戸籍 1通 450円
改製原戸籍、除籍 1通 750円
住民票の除票、戸籍の附票 1通 300円(自治体によっては200円)
必要な戸籍の数は相続人の数によって異なります。
そして、相続が開始して時間が経てば経つほど、相続関係者が増え実費がかさみます。
全部で4、5通で済む方もいれば、10通、20通、場合によっては50通必要な場合もあります。
相続手続きは戸籍集めが一番面倒な作業だと思います。
特に郵送での申請は事務作業が非常に面倒です。
郵送請求の場合、本籍地の市区町村長に宛てて、申請書に必要事項を記載し、手数料相当の小為替を郵便局で買って、返信用封筒をつけて送ります。
申請書は自治体ごとにHPで公開しているので、
パソコンがあればご自分ですべて戸籍を揃えることもできますが、
日頃慣れていない方にとってはなかなか面倒な作業となります。
また、本籍を転々としている場合、あちこちで戸籍を集めないといけないので時間もかかります。
司法書士は、依頼を受けた手続きに必要な戸籍、住民票などについて、依頼者の代わりに取得することができますので、
相続関係が複雑な場合はなるべく当初から司法書士に戸籍収集も依頼することをお勧めします。
3.司法書士の報酬
当事務所の報酬は以下のように分けて設定しています。 詳しくはHPの名義変更の費用のところをご参照ください
- ①基本報酬・・・不動産の価格に応じたもの
- ②加算報酬・・・不動産の個数、相続人の数、難易度など個別事情により加算するもの
- ③付随報酬・・・登記手続きに必要なその他の事務処理費用
- ④日 当・・・遠方の市町村役場への調査事務など
以下具体的にシンプルな事例を用意しました。
例)土地1、建物1(あわせて1000万円の評価)の不動産
被相続人A
相続人 妻B、子C、子D、子E
遺産分割協議の末、「妻がすべて相続する」ことで合意済み
戸籍や名寄せなど必要な書類は司法書士にすべて依頼(戸籍等は合計10通)
印鑑証明書は各自で取得する
子C、Dは県外在住のため、郵送で書類のやりとり
<司法書士報酬>
基本報酬 24,000円
筆数加算 1,000円
職務上請求による戸籍等取得(10通) 10,000円
名寄せ帳 2,000円
相続関係図の作成 5,000円
遺産分割協議書(包括・簡易) 5,000円
各相続人への郵送事務(2人) 4,000円
登記情報の事前調査(2通) 1,000円
完了後の登記事項証明書取得 1,000円
(小計) 53,000円
<実費>
登録免許税 40,000円
登記事項証明書2通(1通500円) 1,000円
戸籍等実費 4,500円
(小計) 45,500円
上記の事例の場合に当事務所にご依頼をいただくと、
司法書士報酬53,000円(別途消費税)と実費45,500円の合計が
登記にかかるお金ということになります。
※なお上記はあくまで一例であり、相続関係が複雑で戸籍の調査に相当の時間がかかる場合や遺産分割協議の内容が複雑な場合、不動産の個数が多い場合などは費用が増加しますので、あらかじめご了承ください。
いかがだったでしょうか?
少しは相続登記にかかるお金についてイメージいただけたでしょうか?
何かご不明な点やご質問がありましたらお気軽に当事務所までご相談ください。