「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ」を受け取った方へ - あいはた司法書士事務所

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「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ」を受け取った方へ

ここ数年、法務局から「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」という文書が届いている方がいらっしゃるかと思います。

いきなりこのような文書が届いてびっくりされた方も多いでしょう。

今日はこの通知がどういうものか、この後どういう対応をすればいいのかということについて解説したいと思います。

なお、この件についての法務省の詳しい解説はこちら→https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00470.html

 

1.この通知は何なのか?

土地の所有者が亡くなっているにもかかわらず、名義がそのままの状態で長期間にわたって相続登記がされていない土地(長期相続登記等未了土地)について、法務局において相続人の調査を行い、その相続人の一人の方にこの通知を出し、速やかな相続登記をすることを促すものです。

通知には、あなたがその土地の名義人の相続人の一人であること、対象不動産の所在、地番などの不動産を特定するための情報、法定相続人情報の作成番号、問い合わせ先の法務局の連絡先などが記載されています。

2.通知を無視したらどうなるの?

仮にこの通知を放置したからといって罰則はありませんが、令和6年4月1日から施行される相続登記義務化の対象ではありますので、いずれにせよお早めの対応が必要です。

3.この後どうすればいいの?

まずは、法務局へいって法定相続人情報の内容を確認してみましょう。

法定相続人情報をみれば、自分がどういう経緯で相続人の一人になっているのか、他に何人くらい相続人がいるのか、他の相続人の特定事項(住所、氏名、生年月日)が判明します。

法定相続人情報の取得は、届いた通知書等を持参してご自身で取得することもできますが、司法書士などに委任することもできます。

4.法定相続人情報をみた後はどうすればいいの?

一般的に、以下二つの選択肢が考えられます。

(1)他の共同相続人とともに遺産分割協議を行い、だれが不動産の名義を引き継ぐか決める。

(2)相続放棄する 

5.遺産分割協議をする

遺産分割協議は、法律上の相続人全員で行う必要があります。

通常のケースでは、まず、亡くなった人(被相続人といいます)の出生から死亡までの全ての戸籍、他の相続人の戸籍や住民票などを収集する必要がありますが、今回のケースにおいては、事前に法務局にて戸籍等を収集し、「法定相続人情報」という現在の相続関係を調査し一覧化した図が作成されています。

法定相続人情報には、作成時点の相続人全員の住所、氏名、生年月日が記載されています。

中には面識なく、連絡先を知らない相続人もいるかもしれません。その方に対しては、まずは文書で本件の事情の説明をするところからはじめます。無事に全員と連絡が取れ、だれが名義を引き継ぐか話し合いがまとまれば、その旨の遺産分割協議書を作成し、その協議書に全員が署名押印(印鑑証明書添付)すれば、名義変更の申請ができます。

ただし、長期間にわたって相続登記がされていないため、二次相続、三次相続が発生し、事案によっては相続人の数がかなりの人数になっている可能性があります。このようなケースの場合、一般の方が自力で手続きを取るのはかなり困難かと思いますので、早めに司法書士(場合によっては弁護士)へ相談することをおすすめします。

6.相続放棄をする

通知書に記載のある現在の所有権の登記名義人について、「どこの誰なのか全くわからない」、「当該物件がどこにあるのかわからない」ということもあると思います。

当該物件の取得に関心がない場合、すみやかに相続放棄することも選択肢のひとつです。

相続放棄をするには、期限内に管轄の家庭裁判所に申立書を提出する必要があります。

原則として、自分に相続権があることを「知った時から3か月以内」に行う必要があります。

よって、通知を受け取った後、3か月以上経過してしまうと、もはや相続放棄できなくなることもあります。

どうするか判断に迷ったらお早めに司法書士(場合によっては弁護士)へご相談ください。