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9周年
当事務所は、本日、令和8年4月1日をもって創業9周年を迎えます。
これもこれまでご愛顧いただきました依頼者の皆様及び関係者の皆様のおかげでございます。
あらためまして感謝申し上げます。
司法書士登録からは丸19年となり、
いよいよ来年は、「創業10周年・登録20周年」の節目の年となります。
私は大分県内では割と珍しく、
約10年間「勤務司法書士」として実務経験を積み、独立開業した司法書士です。
最近は、大分県内にも司法書士法人の事務所が増え、勤務司法書士として働く方もいるようですが、
私が登録した平成19年頃は、
司法書士といえば「独立開業するのが当たり前」で、
「他の事務所に勤務する」ということはあまり想定されていませんでしたので、
勤務先を探すのは大変苦労しました。
今日は少しだけ、私の勤務時代のことをご紹介させていただきます。
私は、大学4年のときに、司法書士試験に合格しましたが、
いくら資格を取ったからといっても、実務経験なく、
さらに社会人経験がないまま独立開業するわけにもいかず、
まずは、勤務として雇ってくれる事務所を探すことにしました。
私は、当時、岡山大学に通っていたのですが、
「地元大分県で仕事をしたい」と考えていたため、
合格発表後には住んでいたアパートを引き払って、
就職先を探すため地元大分に戻ってきました。
司法書士会の事務局を通じて雇ってくれそうな事務所を探してもらったりしましたが、
先ほども触れたように、
当時の大分県では「勤務司法書士」を募集している事務所はほぼありませんでした。
配属研修を受け入れてくれた事務所でさえ、
「勤務としては雇えない」といわれ、
「やはり県外で探すしかないか・・・」と、
他県の同期合格の司法書士を通じて九州内で勤務先を探そうとした矢先、
奇跡的に受け入れ先の事務所が見つかりました。
私を受け入れてくれた先生は、
「司法書士本職1、事務員(配偶者)1名」というどこにでもある小規模な事務所でしたが、
従来からの司法書士の主な業務である不動産・会社法人登記にとどまらず、
簡裁訴訟代理(債権回収、賃貸トラブルなど)、
裁判書類作成(相続放棄、各種財産管理人選任、債権差押など)に加え、
当時、社会問題だった「多重債務問題」にも積極的に取り組んでいました。
大分県は当時弁護士の数が非常に少なく(県内に60名程度だったと記憶しています)、
司法書士の中でも多重債務問題を扱う事務所は多くなかったため、
「まちの法律家」として、
勤務地だった別府市だけでなく、県北から県南まで大分県内全域から依頼を受けていました。
平成19年~平成20年代前半までは、
いわゆる「過払いバブル」と呼ばれるほど、
消費者金融やカード会社への過払い金返還請求がとても多く、
弁護士・司法書士の中にはそれを専門として大々的に広告をうつ事務所も出てきました。
そのような債務整理専門事務所に勤めた人の中には、
効率化を図るため、業務が細かく分業化され、
事務員が作った訴状をもって裁判所にいくだけで、
書類作成を全くさせてもらえない司法書士もいたと聞きます。
笑えない話ですが、
数年ぶりに同期に合うと「不動産登記の申請書の書き方を忘れた」という人もいるくらいでした。
私の場合、「事務員兼本職」として、
依頼を受けた案件については、
初回相談の聞き取りから書類作成~示談交渉~和解・判決(場合によっては強制執行)まで
一連の業務として全て担当させてもらっていました。
また、従来からの司法書士の業務である不動産取引の立ち合いについても、
最初の1回目だけは先生の付き添いでいきましたが、
その後は自分の担当分はすべて自分一人で立ち合いさせてもらえました。
20代前半のうちは、銀行の応接で関係者と挨拶をしていても、
事務員にしか見えなかったのか、
「先生はいつ来るんですか?」と言われることが多々ありました。
仲介業者や金融機関との調整、当日の立ち合いから申請まですべてを経験することで、全てが血肉となりました。
先生に私の結婚式で乾杯の挨拶をしていただいた際、年齢的にはちょうど三回り離れた私に対して、「部下ではなく、パートナーだと思っている」といってくださり、大変感激したことを今でも覚えています。
実際に事務所の運営においても私の意見をどんどん取り入れてくださり、同じ資格者として、本当に対等に扱っていただいているなという実感がありました。
今思えば、本当に恵まれた環境で10年間育てていただいたなとつくづく思います。
勤務時代にある程度の実務経験があるおかげで、独立してから初めて受ける案件でも、「過去に似たような案件をやったことがある」、「やったことはないけど多分こう進めればいいんじゃないか」と、気持ち的には楽に仕事の依頼をうけることができています。
そのように私が大変お世話になってきた先生が、今年の年初めにお亡くなりになりました。
ご冥福をお祈りいたしますとともに、先生に育てていただいたご恩に報いるため、
これまで以上に研鑽を重ね、地域の皆さまの身近な法律問題の相談窓口として
充実した法律サービスが提供できるよう努力してまいります。
司法書士 藍畑公明
