安易な任意整理はキケン!? - あいはた司法書士事務所

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安易な任意整理はキケン!?

任意整理とは、債務整理(借金整理)の方法のひとつです。

 

任意整理のメリットは、主に以下2つです。

①約定の返済計画を見直し、月々の返済額を支払い可能な金額に抑えることができること

②原則として、将来利息をカットしてもらうこと(※一部応じないところもあります)

※以前(平成20年代前半まで)は、ほとんどの貸金業者の請求する利息が利息制限法違反だったことから、過去の取引をすべて利息制限法上限金利での引き直し計算をし、債務が圧縮するケースが多かったのですが、現在は、ほとんどの借り入れが利息制限法の上限以下の為、借金を圧縮する効果はほとんどありません。

 

自己破産や個人再生と異なり、裁判所を介さず債権者ごとに個別対応なので、「手続きする」、「しない」を任意に選択できます。

 

例えば、銀行のカードローンや自動車ローンはそのまま約定通り支払いを継続して、消費者金融やカード会社の分だけ整理することも可能です。

 

ただ、債務整理とは、その名のとおり、借金を整理することが目的です。

 

実際には、借金の総額や本人の収入状況からして、自己破産や個人再生を選択するべきところなのに、

客観的には成功する見込みのない任意整理を、「本人の希望だから」という理由だけで、そのまますすめて成立させる代理人もいると聞きます。

 

そして、安易な任意整理を選択した結果、数年延命したところで、結局力尽きてあらためて自己破産するというケースもあると聞きます。

 

私の個人的な意見としては、客観的に任意整理が成立する見込みがないのであれば、きちんと依頼者本人の説得を試み、

それでも依頼者が応じないのであれば依頼を断るべきだと考えます。

 

実際、任意整理という借金整理はそんなに甘いものではありません。

任意整理を選択するときは、自分の収入の範囲内で支払い可能な金額を算出し、

その総額を各債権者に割り振って各社ごとに3~5年程度の分割払いを提案することが一般的です。

 

そのため、まずは、司法書士や弁護士が受任した後、支払いがストップしている間に、あらためて自己の生活状況をみなおします。

そして、月の家計表を作成し、収入の中から生活に必要な支出を除いた上で、「支払いに充てることができる金額がどのくらいあるのか」を客観的に数字で算出します。

 

ここで大事なのは、上記で出した金額「すべてを返済に充てることはできない」ということです。

「月の収支を計算すると平均3万円は余ります」「じゃ、3万円を返済に充てよう」ではないということです。

 

なぜでしょうか?

任意整理に限らず、債務整理をすると、信用情報に事故情報が登録がされ、今後、新たに借り入れをしたり、カードを作ることが難しくなります。

 

つまり、任意整理をする3~5年の期間は、新たな借金はできず、現在の自己の収入の範囲で生活し、返済を行い、さらに一部は貯蓄できなければなりません。

 

「え?貯蓄ってどういうこと?」と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。

 

通常、人が生活していれば、様々、突発的な支出というものがあります。

典型的なものとしては、冠婚葬祭費、自動車の車検、税金などでしょうか。

その他、自分や家族の病気や事故で医療費がかかったり、子供の学費など様々なものが必要です。

 

そのため、任意整理を成功させるには、3~5年間債権者への返済を続けながらも、

別途、突発的な支出に耐えうるよう月に数万円でも貯金ができるような経済状態でない限り、

「その任意整理は破綻する可能性がある」ということを頭に入れておかなければなりません。

 

突発的な支出に耐えられない場合、月々の返済計画が狂っていきます。

最初は食費や雑費などを減らして対応することができるかもしれません。ですが、次第に、返済するためのお金が足りなくなります。

債務整理をする以前なら、別の貸金業者でカードを作って、返済のためのお金を一時的に準備することができたかもしれません。

ですが、今の任意整理をしている状態では、「通常の貸金業者では新たに借り入れができない」のは先ほど説明した通りです。

ただ、そのような状態でもお金を貸してくれるところがあります。

闇金業者ですね。

最後は藁をもすがる気持ちで闇金業者を利用してしまう人もいます。※本来はこの時点であらためて自己破産を選択するべきです

 

闇金業者を一度利用してしまったら、もはや債務整理どころではありません。

 

任意整理の失敗は、大げさな話でもなんでもなく人生を破壊する可能性があります。

 

自分にあった適切な方法で債務整理ができるよう、信頼できる弁護士または司法書士へご相談しましょう。