相続・遺言・成年後見
亡くなった親が住んでいた建物が登記されていないようなんですが・・・
建物を新築したら、1か月以内に表題部の登記を申請しなければいけません(不登法164条)。
表題部の登記とは、その建物に関する以下の情報を法務局に登録するものです。
①所在 ②家屋番号 ③建物の種類・構造 ④床面積
通常、その表題登記後に、「所有権保存登記」まで行ってはじめて、対外的に「その建物が自己の所有物である」と主張できるようになります。
建物の登記がない状態(未登記)や、表題登記のみの状態では、「その建物は私のものです」と第三者に主張できません。
つまり、その建物を第三者に売却したり、その建物を担保に融資を受けたり、その他各種手続きをするのに支障が出ます。
一般的には、建物の新築時に金融機関から融資を受けることが多いので、所有者が意識しなくても、手続き上、表題登記、保存登記がきちんとなされてます。
しかし、建物を建てるときに金融機関を利用せずに、現金で購入したり、自分で建物を建てた場合などは
「登記をしなければいけない」ということを知らないまま、建物についての登記をしていない方も一定数います。
登記されていなくても、建物が存在する以上は、一般的には固定資産税は課税されているので、毎年固定資産税の納税通知が来ます。
納税通知には建物のことが記載されているため、日頃はあまり建物が登記されていないことを気にすることはありませんが、
相続時に物件調査をして初めて、「実は建物が登記されていなかった」ということが判明することがあります。
登記されていない以上、遺産分割などで引き継ぐ人が決まっても名義変更はできません(名義がないから)。
相続人同士では話し合いができれば、実体上の建物の所有権は相続されますが、
対外的に自分が相続したことを主張するには登記をしなければなりません。
相続後に自己が引き続き住み続ける、第三者に売却処分したいのであればきちんと表題部登記をした上、所有権保存登記をする必要があります。
なお、表題部の登記は土地家屋調査士の専門です。
所有権保存登記は司法書士の専門です。
よって、相続に際しては、司法書士または土地家屋調査士に相談することをおすすめします。
いずれかにご相談すれば日頃懇意にしている他方の士業を紹介してくれると思います。
※なお、未登記建物の見分け方については、固定資産税の納税通知書上「家屋番号」という欄が空欄になっていますのでご確認ください。
※また、誤解されている方が多いのですが、市役所に対して「未登記建物の届出」をだしたとしても、自分がその建物の所有権を相続したという効果はありません。